米レポ市場における取引電子化の動き
Abstract
セレントは、米国のディーラー間レポ取引の約40%が2007年末までに電子化されると予測しています。一方、対顧客取引ではいまだ電子化の推進に至るまでに課題が山積しているものの、2007年には取引全体の約15%を電子取引が占める見通しです。
米国のレポ市場はここ数年で飛躍的な拡大を遂げてきました。1984年から2003年にかけては年間平均16%のペースで市場が拡大しています。2004年第3四半期の国内プライマリー・ディーラーの名目元本残高は日次平均で5兆ドル(約520兆円)近くに達しました。当然のことながら、米レポ市場の拡大は米債券市場の拡大を反映したものと言えるでしょう。レポ市場は世界の資本市場を構成する不可欠な要素であり、債券ディーラーにとっては引き続き重要な資金調達源となっています。
米国の債券取引市場においては一時70にも上る電子取引プラットフォームが市場シェア獲得を狙って凌ぎを削っていましたが、レポ市場に参入したベンダーはごく一握りです。様々なブローカーやディーラーが長い間電子取引の価格発見機能を提供してきたとはいえ、レポ市場で完全な電子取引が執行されるようになったのは比較的最近のことと言えます。
セレントの最新レポート「米レポ市場における取引電子化の動き」は、米レポ市場の発展状況はもちろん、電子レポ取引プラットフォームの開発に影響を及ぼす主要トレンドや戦略課題も明らかにしています。また、新興オンラインブローカレッジの戦略を通じて、市場規模でのプラットフォーム導入に向けた課題を検討し、プラットフォーム数社のビジネスモデルや電子レポ取引の拡大に及ぼす影響を分析しています。
「特に主だった市場参加者にとって、レポ取引は電子化に適した取引と言えます。というのは、取引契約の大部分の標準化が比較的進み、その内容にほとんど差がない上、ディーラー間取引は中央清算機関を通じて行なわれているからです。一方、統一基準の整備が遅れている対顧客取引における電子化にはいまだ信用上および決済上の問題に伴う制約があり、より難しい課題が残ります」と、セレントの証券・投資グループのアナリストで本レポートを執筆したハレル・スミスは述べています。
現在、ディーラー間レポ取引の約14%を電子取引が占めていますが、この比率は2007年までに40%近くに達するでしょう。特に、米レポ市場で最も流動性が高い国債のオーバーナイト取引市場では、電子取引を主流とする取引モデルへの移行が急速に進んでいます。一方、取引電子化の遅れが目立つ対顧客のレポ市場では電話取引中心の状況が続くものの、同市場における電子取引の比率は2006年末には15%程度まで伸びる見通しです。
このレポートで取り上げたベンダーは、BrokerTec、モルガン・スタンレー・レポリンク、リーマン・ブラザーズのリーマンライブの3社です。また、TradeWebとeSpeedについても、それぞれ対顧客取引市場とディーラー間取引市場に及ぼす影響を分析しています。
このレポートは、14の図と2表を含む全29ページで構成されています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2004年12月30日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。