融資業務を巡るグローバルトレンドとサポートシステム
Abstract
グローバル化、シンジケーション、ローンの売買という3つの主要トレンドを背景に、銀行は大口顧客向けの大型ローンを従来よりも多く提供する機会に恵まれていますが、多くの銀行はこのようなビジネスチャンスを得るために新たなテクノロジーの導入を必要としています。
世界の融資市場では現在、著しい変化が生じています。最前線を行くのが米国、欧州がこれを追随しており、日本もグローバルプラクティスの採用を急速に進めています。米国では、トップ10以下の銀行がシンジケートローン、多通貨ローン、その他のローンを巡る競争に凌ぎを削っています。こうした動きは、このような融資の管理に必要なテクノロジー市場にも影響を及ぼしています。全ての銀行が、融資業務の進歩による恩恵を享受できるようなテクノロジーを備えているわけではなく、一部の銀行は、現行の融資システムの大規模な見直しをするか、或いは特殊なローン用にサブシステムを構築するか、いずれかの選択を迫られるでしょう。
テクノロジーベンダーは、融資市場の変化にいち早く対応してきました。シンジケートローン市場が拡大するにつれ、銀行にとってこうした商品の提供は必須条件となりつつあります。セカンドティアの銀行がトップティアと競合するためには、シンジケートローンの提供は不可欠となっています。そうしたニーズに応えるため、融資ソリューション・プロバイダーはASPモデルや低コストのプラットフォームで稼動するソリューションなどを展開してきました。
これらのベンダーは次の3種類に分けられます。
• 国際的なベストオブブリードシステム: ACBSおよびLoan IQ
• 米国内のベストオブブリードシステム:AFSおよびShaw
• 成熟したユニバーサルバンキングシステムの融資モジュール:FLEXCUBE and T24
セレントは、独自の分析手法「ABCDベンダービュー」を使ってこれらのソリューションを評価し、「テクノロジーの先進性」「機能の幅(フロントからバック)」「顧客基盤」「機能(特性)の充実度」に基づいてマッピングしました。
AFS Visionは機能の幅では他をリードしているものの、いまだ幅広く採用されるには至っていません。 一方、ACBSとLoanIQは世界中で導入されている主力システムです。また、T24は国際的なブランチソリューションと単独型ソリューションがいずれも広く採用されており、幅広い顧客基盤を確立しています。FLEXCUBEは買収や自社開発による機能拡充を進めていますが、一方Shawは米国市場に特化する方針です。
今回のレポートの執筆者でセレント銀行プラクティスのシニアアナリストであるバート・ナーターは次のように述べています「グローバル化はビジネス世界に浸透しています。海外に進出した顧客をサポートできない銀行は、自ら競合に顧客を奪う機会を提供することになるでしょう。」
本レポートは23図と15表を含む全60ページで構成されています。